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高等教育政策・大学経営

総合型・学校推薦型選抜の面接必須化 面接の前に、何を揃えていますか

9月の出願開始に向けて、2027年度入試の要項はもう刷り上がっている頃だと思います。そこに「面接」の二文字をどう入れるか、この春から頭を悩ませた入試課も多かったはずです。

ただ、要項が固まれば終わりではありません。誰が、いつ、何人と面接するのか。決めるのはこれからです。

文部科学省は5月27日、2027年度大学入学者選抜実施要項の通知を出しました。総合型選抜・学校推薦型選抜で、面接による評価を必ず行う。オンラインも可。既存の選抜区分は2029年度まで猶予がありますが、新設区分に猶予はありません。背景として通知が挙げているのは、2月1日より前に実施する教科・科目のテストの配点割合が著しく高いなど、選抜区分の趣旨と実態が合わない例が一部に見受けられたことです。狙いは、区分の趣旨と実態を揃えることにあります。

ただ、影響はその範囲にとどまりませんでした。

成蹊大学は7月1日、2027年度に新設予定だった総合型選抜「基礎学力型」の実施取りやめを発表しました。基礎学力試験に調査書と活動報告書を組み合わせる、多面的な評価を意図した方式です。同大は文科省と複数回協議したうえで、要項が求める水準の面接を短期間で組み込むことは入試日程や運用体制の観点から難しいと判断したと説明しています。9月出願開始の入試で、7月の変更は異例です。

東海大学は12月実施の特待生試験に面接を追加し、あわせて試験会場を全国13地区から5キャンパスに集約しました。

この2件が示しているのは、面接が選抜手法のなかで最も単価の高い接点だという、当たり前の事実です。丁寧に会おうとすれば、会える人数か、方式の数か、どちらかを削るしかない。東海大は前者を、成蹊大は後者を選んだことになります。

そしてもう一点。同じ通知の変更点には、面接必須化と並んで「不正行為の防止のため、本人確認を適正に行うことやオンライン試験に関する留意事項等を追記した」と書かれています。同じ7月、近畿大学は情報学部の総合型選抜で、自己PR動画やプレゼン準備への生成AI利用を認めると発表しました。禁止するのではなく、使ってよいと先に示したうえで、口頭試問でどう使ったかを見る設計です。

面接に何を期待するか。私は、入学後のミスマッチを減らすことだと考えています。

文部科学省の調査によれば、2024年度に大学を中途退学した学生は50,516人、在籍者の2.00%にあたります。理由の上位は「転学・進路変更等」が22.3%、「学生生活不適応・修学意欲低下」が16.3%。合わせて約4割が、学力ではなく進路選択と適応の問題です。学力不振は7.0%にとどまります。

学力は試験で測れます。面接で確かめるべきはむしろ、その学部で学びたいという意欲がどれだけ具体的か、資格職・専門職を目指す課程であればその意思が固まっているか。そして、入学後に修学の妨げとなりうる要因を本人と一緒に見通せるかどうかです。学修についていけるか。通学の負担が重すぎないか。そこまで確かめられたとき、面接はミスマッチを減らす装置になります。

その観点から見ると、近畿大学の判断は理にかなっています。AIの使用を事後に問題にするのは、受験生からすれば後出しじゃんけんです。方針を先に示したことで、口頭試問が対話の場になります。加えてこれは情報学部に限った措置です。すでに授業で生成AIを使った演習を取り入れている学部であり、提出物にAIがどう使われたかを読み取る素地が、評価する側にあります。

課題があるとすれば、この設計を他の分野に広げるときです。方針を示すことと、それを評価できることは別です。情報を専門としない学部で、生成AIの利用度合いをどこまで読み取れるのか。そこは各校が自前で用意するしかありません。

今回の変更については、「大半の総合型・学校推薦型ではすでに面接を課しているので、影響を受けるのは一部にとどまる」という見方があります。河合塾の調査でも、高校教職員(104人)の74%が面接必須化に賛成しています。

ただし同じ調査で、近畿地方の大学教職員は反対が58%と、賛否が逆転しています。学力型の年内入試を早くから手がけてきた地域ほど、影響が具体的に見えているということだと思います。

そして近年は関東圏でも、公募制の総合型選抜・学校推薦型選抜における「基礎学力テスト型入試」の導入が増えています。ここにもすべて面接が入れば、志願者数の多い大学の現場が混乱するのは想像に難くありません。受験生の側も、年明けの一般選抜に向けた前哨戦としてこの方式を受ける層には、面接対策という負担が新たに乗ります。影響は一部にとどまる、と言い切るのは早いのではないでしょうか。

そのうえで、この2年間の猶予の使い道を一つだけ挙げるとすれば、面接の中身を磨くことより先に、面接の前に何を揃えるかだと思います。

調査書と志望理由書だけでは足りません。その受験生にオープンキャンパスの参加履歴があるか。自宅からの通学時間はおおよそどれくらいか。この2点が面接官の手元にあるかないかで、限られた面接時間の中身は変わります。参加履歴のある学生には、何を見て何を感じたかを聞ける。ない学生には、なぜ本学なのかを一から確かめる必要がある。通学に90分かかると分かっていれば、その負担をどう考えているのかを聞ける。

面接は、その場で情報を集める時間ではなく、すでにある情報を確かめる時間なのだと思います。

面接を増やせという通知を、負担が増えたと読むか、誰にどう時間を使うかを決め直す機会と読むか。2029年度までの猶予は、その問いを考えるための時間なのかもしれません。

参考資料

免責事項

本コラムに記載した制度および統計に関する情報は、上記の参考資料に基づく2026年7月30日時点のものです。その後の改正や更新により内容が変わる場合があります。制度の詳細および最新の状況については、文部科学省および各大学の公表資料を必ずご確認ください。

また、意見にわたる部分は筆者個人の見解であり、特定の大学の対応を推奨または批判する意図はありません。個別の入試設計に関する判断は、各校の状況に応じてご検討ください。

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